TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」

今年5月に漫画「JIN−仁」のことを知って買ってみたら、これが面白くてハマってしまったことは以前書きました。その後、続きをコンスタントに買い続け、2ヶ月ほどの間に15巻まで制覇してしまったのですよ、実は。*1
そして今月から連続ドラマとして放映されるということで、あまりテレビドラマは見ない私ですが、多少は気になって一応録画。この間の日曜日に1,2回を続けて見てみました。
公式H.P

全体の感想

初回が約2時間となっていますが、ドラマオリジナルキャラである友永未来と仁の関係に大幅に時間が取られてましたね。未来*2は仁の婚約者であり、しかも仁自身が彼女の脳に出来た腫瘍を取り除く手術を強行した末に植物人間状態となってしまったという過去があるわけです。
現代における、仁と未来が病院の屋上で夕日を見ながら会話していた記憶とか、未来の手術後に変わってしまった医療への姿勢とか、そのへんが江戸時代にタイムスリップしてからの仁の内面にも影響していたりしてますね。
2話においては、父を虎狼痢(コレラ)で亡くしたいきさつから病と戦おうとする、武家の娘らしからぬ橘咲の積極性とお家大事にして保守的な母・栄との対立が強調されている感じ。


そういう意味では、原作の方はあくまでも現代の外科医が器具も衛生の知識も無い江戸時代においていかに病と戦うかという面が強かったのに対し、ドラマ版は人情ドラマとしての演出が強めになっているなぁと感じました。
また、医者という人間の命を左右することのできる人間がタイムスリップして、いきがかり上といえど死ぬはずだった人を救ってしまったのだから、歴史に干渉することについて懊悩する場面は略せないでしょうな。後々のストーリーにも関係することだし。
そういやタイムスリップといえば、きっかけとなったあの患者は「戻るぜよ」と言い、もしかしたら後に暗殺されることになる坂本龍馬ではないかと仁が想像する場面があるのですが、救急医療キットを持ち出すあたり、後々江戸時代から戻った仁の可能性も有り得そうで、回数が限られるドラマの中でどう決着をつけるか気になるところですね。


それから、漫画でもメインとなる手術シーンは実写で見るとやっぱり生々しい。現代でも医療に関係ない人間には直視できないものであろうに、手術の概念が広まっていない江戸時代においてはどれだけ衝撃的なんだろうか想像できないですね。
ただ、原作は医療関係者監修による詳細な解説図と丁寧な出術シーンが特色でありましまたが、映像化する上での都合とはいえ、あそこまで省略されてしまうのは原作を評価する人としては残念かもしれないですね。

配役について

とりあえず目についた人だけ。

前半のニヤケ面は気になったけど、患者を前にしての真剣な表情の時は結構雰囲気出ているかな。江戸時代にその髪型はやっぱりおかしいけど(笑)

橘家の人々は要であるだけに注目していたけど、今のところ好印象。特に栄(麻生祐未)はイメージ通り!

この俳優さんはよく知らなかったけど、このドラマの中で一番のハマリ役だと思う。
にしても、この時代にしては相当の大男だったという龍馬*3より身長の高い南方仁に対しての周囲の言及が特に無かったのは不思議(内野聖陽は身長177cm、大沢たかおは身長181cm)。

1話後半〜2話ではつらい役どころを熱演。原作でもそうだったけど、この母子には泣ける。

格好の憎まれ役*4としてなかなかの演技ではあるけど、コレラ患者にしては血色良すぎるだろ(笑)*5


そして、今後登場予定の新門辰五郎藤田まこと)には期待。

その他

  • 主題歌に合わせて現代の東京と江戸時代の同じ風景を交互に見せるのはなかなかいい試みと思う。
  • ストーリー上、後に登場するはずの重要人物が前倒しで登場するのは、おそらく視聴者に今後の期待を持たせるためのドラマならではの演出なんだろうなぁ。
  • 歴史オンチの妻が一緒に見てて面白かったという。タイムスリップ+簡単に人が死んでいく時代における現代医療というテーマが原作を知らなくても視聴者を飽きさせず、結果的に視聴率に反映しているのかも。

*1:現在、最新巻として16巻が出ているらしいけど未読

*2:名前がこれまた象徴的

*3:日本人の平均身長155cmほどの中で、身長六尺(182cm)。近年の研究では174cmや169cmもあるという

*4:序盤はね

*5:原作の山田順庵は背が低くガリガリだった