- 作者: 有吉佐和子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1976/09/10
- メディア: 文庫
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作品数も多いし、なかなかきっかけがないと読む機会が掴めないのだけど、「歴史上の女性をすごく魅力的に書いている作品を教えてください!」の質問にてお薦めされて読むことになりました。
初めて読む作家だけに最初は構えていた感もありましたが、初っ端から引き込まれましたね。
主人公・お峰と後に夫婦となる甚三郎とのお見合の前後からして、楽しめる展開です。2人ともつい応援したくなるほど魅力的ですが、周りの人物が一癖も二癖もあって目が離せない(笑)
大きな賭けに出ずに堅実な商売で順調に身代を大きくしていた江戸浅草の材木商・真砂屋(「まなごや」と読む)ですが、そこには200年も前から先を見越した家訓を定めて、それを堅く守ってきた代々の店主達の努力があったわけです。
養子入りして間もない甚三郎改め七郎兵衛も真砂屋で働き始めてそれを実感するのですが、頻発する江戸の火事による材木費の高騰によって、真砂屋は転機を迎えます。そして突如始まったお峰の桁外れの濫費・・・。ちなみに真砂屋の身代を狙うお峰の伯母・お米の存在も妙に気になります。
いったい、真砂屋のお峰と七郎兵衛はどうなっていってしまうのか、先が気になったまま読んでいくと意外な結末が・・・。
まぁ、歴史的出来事(幕閣の人物とか)に首をかしげる部分もあったり、人物の台詞が妙に長すぎるのがちょっと気になりましたけど、確かに読後感はすっきりする物語でしたね。
目先の利益に狂奔する世間を評して「末世だねぇ」と慨嘆するお峰の祖父。
それに比べて芯のしっかりした健全な心を持つ2人のハッピーエンドはとても爽やかな気分になれました。