40冊目 『逆説の日本史〈12〉近世暁光―天下泰平と家康の謎』

逆説の日本史12 近世暁光編: 天下泰平と家康の謎
作者: 井沢元彦
出版社/メーカー: 小学館
発売日: 2005/04
メディア: 単行本

この『逆説の日本史』シリーズを含め、井沢元彦の著作は学生時代に貪るように読みましたね。
歴史関係の小説は殆ど読んでしまったのと、考察ものに関しては新しく出されたものでも内容が以前のと被ってきたので、しばらく離れていました。
で、先日本屋の店頭に13巻が出ていることに気づいて購入、そして家に帰って気づいたのですが、まだ12巻を買っていなかった・・・。
別に順序が後先になっても読めないわけではないけれど、こういうところは几帳面な私の性格プラス通史と銘打ってある以上、順番通りに読まねばいかん、と13巻は積んでおいて12巻を注文した次第です。


12巻はほぼ徳川家康メインの内容です。しかも家康が悪者となっている小説では「本性を出し始めた」と言われる豊臣秀吉の死後より始まります。
豊臣政権を潰す様と幕府の基礎を固める過程を中心に、まさに深謀遠慮と言える家康の手腕が明らかにされます。
一般的な歴史解釈と違い、その時代の目線に立って、当時の宗教的側面や歴史的教訓を取り入れて謎を解いていく考察は相変わらず明快でわかりやすいです。
特に御三家の内、水戸家の置かれた使命と幕末の顛末については、改めて歴史の面白さを実感させてくれる内容です。
ただ、歴史に詳しく無い人でも理解しやすいようにする為か、現代の一般例をよく挙げていますが、中には飛躍しすぎるというか、ふさわしくなさそうなのも混じっていますね。


ともあれシリーズ全般について言えるのですが、歴史の本職の人達にとっては噴飯物であろうが、私のような一般的な歴史好きにとっては、目から鱗的な斬新な歴史の切り口をいつも見せてくれているわけで、やっぱり為になるシリーズだと思うのですよ。
もっとも今回は、信長・秀吉に比べて人気面では劣るものの、現代日本人への影響の上では大きな役目を果たした家康(と江戸時代)については、まだまだ語り足りない部分もあるのではないでしょうか。
ということで、次巻に期待です。