31冊目 『重耳(上)』

重耳(上) (講談社文庫)
作者: 宮城谷昌光
出版社/メーカー: 講談社
発売日: 1996/09
メディア: 文庫

初めて読んだ宮城谷昌光の著作が『王家の風日』*1で、それが商(殷)から周への移り変わりを描いたわけですが、『重耳』の舞台はそれから約300年後、周の勢威も衰えた頃です。
いわゆる春秋時代の幕開けです。私も詳しくないのですが、日本史で言えば室町時代後半のような君主としての権威は保つものの、宮廷での権力争いに利用され、地方では諸侯が力を持って半独立しているみたいな認識でした。
本当の戦国時代に突入し、周が滅びるのは更に数百年後です(それでもまだ紀元前なのですが)。


読み始めて思ったのですが、やっぱり馴染みのない人物・地名にまごつきます。見慣れない漢字も頻繁に出てきますし。
それでも読み進めていくと、徐々に物語に引き込まれてしまうのはさすがですね。
上巻ですと、前半と後半では読むペースが2倍くらい違います。
特に後半は凡愚かと思われた主人公・重耳がようやく大器の片鱗を見せる場面とか、晋統一にかける武公(物語中の名は「称」、重耳の祖父)の執念とも言える政略が進められる場面が描写される様は、心が踊ります。
中巻以降で明るい将来が見えたかと思えた重耳の本当の試練が始まるわけで、非常に気になるところです。
ともあれ全体的な感想は、下巻読了時にしたいと思います。