2期・14冊目 『GO』

GO (講談社文庫)

GO (講談社文庫)

なんとなく『フライ,ダディ,フライ』のスンシンにややキャラがかぶる本作の主人公・杉原は「在日」朝鮮人(後に韓国籍に変更)の3世。
「在日」というなんとも複雑な問題は横に置いておいて、突然に目の前に現れて恋に落ちた少女・桜井とのことや、朝鮮学校の親友や唯一と言っていい日本人の友人・加藤との交際など、あくまでも主人公の高校生活を描く作品でした。
本人は日本生まれの日本育ちで、あまり国籍とか人種というものに頓着せず、むしろ深い考えなく拘ることに軽蔑すら抱いています。
しかしそういったものは本人の意思に関係無く、未だ10代の彼の対人関係のなかで重くのしかかってきて、孤軍奮闘する様に思わず応援したくなったりしますね。


でも運動神経抜群で、喧嘩は無敵、勉強は嫌いだけど頭は良い。歴史・哲学・人類学の知識があり、洋楽・映画にも造詣が深い。そんな高校生は完璧すぎて親近感わかないなぁ。*1

*1:今思うとブルース・スプリングスティーンだのキム・ベイシンガーだの話題にする高校生って一体・・・。特に記してないけど、時代設定は80年代?

2期・15冊目 『69』

69(シクスティナイン) (集英社文庫)

69(シクスティナイン) (集英社文庫)

村上龍の自伝的小説。
世の中楽しんだもの勝ちという著者のポリシーの如く、何だか楽しくかつテンポ良く読める物語。なんだかんだ理屈並べても結局は好きな子の気をひくためだったり、後先考えずにバカやったりするところが自分の高校生時代を思い出しますね。
ただ、世代の違いというか、さすがに生まれる前の時代の空気は今ひとつわかりにくいなぁ。例えば全共闘とか校内のバリ封*1とか言葉では知っていても、そこから浮かぶ熱気みたいなものは理解しにくい。19"89"ならば大いに共感できたかもしれん、と思った30代の私でした。
ただ、力で押さえつける大人とそれに反抗する10代という面では、自分らの頃でも残っていたけど、今はだいぶ様変わりしてますよね。