11冊目 『フライ,ダディ,フライ』

フライ、ダディ、フライ (The zombies series (SECOND))
作者: 金城一紀
出版社/メーカー: 角川書店
発売日: 2005/05/31
メディア: 単行本

初っ端から物語に引きずり込まれ、しかもテンポ良く一気に読めた。
暴力を受けた愛娘の復讐の為に、喧嘩の達人である在日朝鮮人の高校生に教えを請い、1ヶ月半の特訓を始めた中年サラリーマン。テーマとしても興味深いし、二人の不思議な交流もおもしろい。ちなみブルース・リーの映画を見ていれば会話シーンがもっと楽しめたに違いない。
大事な家族の絆を失いかけた父親が、取り戻すためにに心身ともに試練を乗り越えていく様がよく描かれていると思う。


重箱の隅をつつくと、経理担当であるならば、判で押したように毎日22時10分のバスに乗って帰宅って変じゃないかな。聞いた話、経理部門ならば決算や月締めの関係で時期によって仕事が終わる時間は大幅に変わるらしいが。たぶん真面目で几帳面な設定ということで経理になったのかな。バスもエピソードとして重要な要素だし。
あと、家族が何よりの宝物というわりには、娘のことを全然知らなかったってそんなもんなの?まぁ年頃の娘と父の関係はなかなか難しいとよく言われるし、こればかりは同じ立場になってみないとわからないだろう。


なんて細かいところに気になる点はあったものの、全体的に高評価。金城一紀の他の作品も読んでみたくなった。