違和感の正体

TV好きな妻は韓国ドラマもよく見ます。
毎日放送しているのでうっかり録画を溜めてしまうと見るのも時間かかって大変だとか。
そして、なぜか歴史音痴なのに韓国ドラマだけは例外のようで、この前は蒙古と高麗の戦いの時代のを見ていたかと思えば今度は李氏朝鮮の時代?のを見てる。
たぶん大奥みたいな朝廷のドロドロとした人間関係がドラマとして面白いのかもしれませんね。


ところで、夜くつろいている時はリビングのテレビに向かっている妻と少し離れてPCに向かっている私という図になるので、自然とテレビの音が耳に入ってきます。
私は歴史好きではありますが、朝鮮史にはさほど興味が無かったので詳しくは知りません。何度か王朝交代があったな〜くらい。知ってる人物も少ないし。
なので普通に聞き流していたのですが、耳に入ってくるセリフにどこか違和感がある。
しばらくその正体がわからなかったのですが、ようやく気づきました。
朝廷が舞台となっているだけに王や王妃がよく出てくるのですが、臣下が「王様」「王妃様」と呼んでいること。


皇帝(天皇)・王あるいはそれに準じる地位の人など、貴人に対する敬称というものがあります。
帝・王本人およびその妃に対しては「陛下」、その親族に対しては「殿下」というふうに。
直接名前を呼ぶのを忌むことで敬意を示すわけです。*1
たとえ位が高くなくとも諱といって本名を呼ばずに「字(あざな)」などの通称や役職名で呼び合う習慣があるくらいですからね。高貴な人物であればなおさら。
日本史上においては天皇を指す敬称として現代でも使われる「陛下」の他にも「主上(おかみ、しゅじょう)」「帝(みかど)」「内裏(だいり)」「禁裏(きんり)」などいろいろありました。
元は中国の秦の時代に始まり律令制度の輸入を通して日本にも定着している文化ですから、当然朝鮮にもそういった慣習があってもおかしくはない。いやむしろ朝鮮王朝は中国の冊封国(諸侯国、属国)だから無いのはおかしい。
よって原文そのままであろうと訳文であろうと、敬称で呼ぶのが当たり前じゃないでしょうか。
「王様」「王妃様」と言ってて不自然じゃないのは童話くらいじゃないかな。


そう思ってちょっとググってみたのですが、私と同じ疑問を抱いた人がいましたね。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1046185645
あえて「陛下」ではなく「王様」とするのは歴史に疎い人でもわかりやすいようにという配慮なのかもしれませんが、「陛下」なんて現代でも使われる敬称だから置き換える必要ないと思うんですけどねぇ。
あとは日本の歴史ドラマだと現存する子孫や地元自治体が関係するなどの理由によって歴史検証がとやかく言われるけど、外国ドラマの翻訳だとそこまで気にする人は少ないってことなんでしょうかね。

*1:後世の人が呼ぶような〇〇帝とか〇〇王といった称号はたいてい没後に贈られる

ちゃんと見ているわけでもないのに見てるドラマの感想

別にドラマを見てるつもりなくても、妻がソファでテレビを見る。その後ろでノートPCを見ている私という位置関係でついドラマの内容も入ってしまうわけで。*1
最近たまたま続けて見てしまっているのが、感情を一切表わさず、家事万能、依頼されたことはなんでもやってしまうという家政婦のアレです。「見た」じゃなくて「ミタ」です。


初回はちゃんと見ていなかったのですが、いきなり不倫している夫に絶望して妻が入水自殺。*2残された父と高校生を筆頭に末は五歳まで4人の子がいる家庭に家政婦が来て、そこで巻き起こるごたごたが毎回話の中心になっているようです。
やはり自分も父親だし設定上は同年代ということで気になったのがその父のヘタレっぷり(笑)
若くして出来ちゃった婚から家庭を持つことになったということもあってか、父はどうしても子が愛せない。さらに不倫で妻を死に追いやったこととばれて子たちに見放されてしまうのです。
義妹*3と末娘は味方だけど、義父はそもそも結婚を認めてなくて、機会あれば子供らを引き離そうとしてる。
これがねぇ、どうやっても4人も子を持つ父親に見えないんですよ。長女はともかく、なんで4人も子を生み育てんだろう?その過程が見えてこない。まぁ仕事人間で奥さんに丸投げだったのだろうという脳内補完はできますが。最初は子連れバツイチの奥さんと再婚したという設定なのかと思ったくらい。再婚後にできた子と前夫の子との感情差でぎこちなくなるというのなら充分考えられますよね。


例えば「マルモのおきて」や「うさぎドロップ」なんかだと、子供に縁の無い独身男性が突然育児をするはめになるそのギャップが面白くもあり、感動的な展開もあったりします。
このドラマに関しては、家政婦が関わる数々の出来事を通じてダメ父が徐々に父親らしさを得て家族の絆を取り戻してゆくってのがこの先読める展開ではあります。
でもこれだけ父親らしくない役者が父親を演じるというのは、その俳優が悪いんじゃなくて、配役ミスのような気がしてなりません。
これが小説だったらある程度背景が書かれて読者自身がイメージを作れるのですけど、TVドラマだとまず設定ありきなんですよね。まぁどんな無理筋な設定でもそれに文句言ってたらそもそもドラマは楽しめないんでしょうけど。
それはともかくアレがですね、アレなんですよ。家政婦紹介所の所長はいい味出してますね。「家族ゲーム(ドラマ版)」や「予備校ブギ」の頃から見てるけど相変わらず存在感あるよなぁ。

*1:途中で寝てしまった妻に結末を教えたことも

*2:いきなり死ぬってのもどうなの?

*3:これが頼りにならない上にトラブルメーカー

TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第6,7話

見出したら面白いのですが、つい見る機会が遅くなってしまいます。
完結編も後半に入って、あの龍馬暗殺の件が見えてきましたね。

第6話

ペニシリンの普及のため長崎の精得館で講義をする南方仁大沢たかお)。実は長崎まで来たのはペニシリンを広めるだけではなく、坂本龍馬内野聖陽)に会い暗殺の事を伝えようと決心していたのだ。
龍馬に会えず半ば諦めかけていたその時、突然仁の前に龍馬が現れる。ようやく龍馬に会うことが出来たと喜んだ仁であったが、そこで出会った龍馬は仁の知っている龍馬ではなかった。龍馬はトーマス グラバー(ウィル・ゲラック)から武器を手に入れ、幕府と戦争をする長州に武器を売って金儲けをしていたのだ。複雑な気持ちのまま、龍馬と共に長州を訪れる仁。
そこで目にしたのは、龍馬が売ったと思われる銃に撃たれた、幕府軍の大量の死傷者の姿だった。その戦場を冷ややかに見ている龍馬…。
少しずつ、少しずつ近づく龍馬への闇。
果たして、仁は道に迷う龍馬を救う事が出来るのか!?
第6話あらすじより

JIN-仁-』長崎編ともいえる今回は初めてお雇い外国人との接触がありましたね。*1当時の様々な学問・技術はほぼ西洋が最新であり、医療も例外ではありませんでした。そこで留学経験も無いのに近代的医術を習得している仁を胡散臭いと思うのは確かでしょうねぇ。記憶喪失ということで笑って誤魔化していましたが、仁としても苦しいところ。
しかし実際にオペを見てその腕の確かなのを認め、一転して協力的になってめでたしめでたしでした。
あと、からくり儀右衛門ごと田中久重も登場しましたね。原作以上に会話が増えていたのはスポンサーである東芝の創設者とされているから、というのは邪推かな(笑)
それ抜きでも、仁から豆電球を渡されて田中が目を輝かすところはなかなか趣のある場面でした。


そして長崎で龍馬に偶然会うことができて狂喜する仁。しかし何やら隠し事しているらしい。なんだかんだありましたがあの写真を一緒に撮っちゃってるよ(笑)
酒の席でペニシリンを使った医療は当時としては高額になってしまうことから「保険があればなぁ」とつい漏らしてしまい、その仕組みを説明してすぐに理解してしまう龍馬はやはり並大抵の武士じゃないですな。しかし暗殺のことを伝えようとするとあの頭痛が・・・。
未来の様子を教えることはできても、未来を変えることに繋がることは言えないようになっているのかと悟る仁。ということは今まで仁が施してきた医療行為は歴史の大勢に影響あることではないということになりますね。


JIN-仁-』のなかでは南方仁が医療を通じて歴史上の有名人物に出会うという楽しみがあるのですが、中でも特別扱いなのが坂本龍馬
客観的には史実に沿っているとはいえ、龍馬の考えに仁が多大な影響を及ぼしそれが行動に出ていると言えます。特にドラマではそれが顕著になっていると感じていました。
今までは互いに刺激し合うと同時に助け合っていた仲とも言えるのですが、薩長同盟・倒幕という歴史が大きく動き出す時期にその渦の中心に身を投じている龍馬と現代人で医者である仁とのズレが如実に現れた回でありましたね。


長州へと赴いた先では第2次長州討伐の最中。龍馬の提供したと思われる武器と訓練された農民兵が火力を活かして藩兵で組織された旧装備の幕府軍を圧倒する。
そこに新たな時代、後世の言い方でいえば革命性を見出した龍馬に対し、同じ日本人が殺しあう様を悲しむ仁。一言で言えば生まれた時代の感覚の差が大きく表れていました。
あくまでも幕府を倒して新たな時代を迎えるための犠牲と割りきれる龍馬と仁は相容れることができずに別れたのですが、確実に仁の信念は伝わっていた模様。
ただ、それが龍馬の今後の行動に指針を与えた結果*2、暗殺へと繋がるのではないかと思うのですが。

第7話

坂本龍馬内野聖陽)と気持ちがすれ違ったまま、長崎から江戸・仁友堂に戻った南方仁大沢たかお)。その頃、龍馬に関する事を探るように上役(中原丈雄)から命じられた橘恭太郎(小出恵介)は、探りを入れるため、度々『仁友堂』を訪れていた。
あらためて“龍馬暗殺”がいつだったか思い出そうとする仁だったが、正確に思い出せない。とその時、またしても頭痛が仁を襲うのだった…。
そんなところへ、野風(中谷美紀)から仁と橘咲(綾瀬はるか)宛ての文が届く。そこにはフランス人・ルロン(ジャン・ルイ・バージュ)と正式に国際結婚できることが決まり、2人に婚礼に来て欲しいという旨が記されていた。かくして婚礼に出席するために横浜の野風の元へ向かった2人だが、そこで仁は、野風から診てもらいたい病人がいると告げられる…。
第7話あらすじより

薩長同盟から討幕への動きを見せる坂本龍馬の監視体制の一環として、親しい南方仁を見張るように命ぜられる橘恭太郎。
そして結婚式の招待と合わせて野風の乳がん再発と妊娠を知る・・・。
今回はほぼドラマオリジナルのストーリーとなりますが、ドラマを見ている人にとっては力入った作りとなっていましたね。


龍馬からの手紙は一見薩長による討幕を匂わせるものでした。仁の想いは伝わらなかったのかと落胆します。合わせて討幕に土佐を引き込もうとするシーンが描かれるあたりはそう思わせますね。
もっとも土佐藩山内容堂始め上層部は佐幕、下士は攘夷と真っ二つに分かれて抗争していた時期があったことは龍馬に興味ある人にとってはよく知られていることです。なんだかんだあって大政奉還へと進むのですが、ここでは少なくとも戦の無い未来への道として仁から龍馬への影響が少なからずあったと示唆されているようです。しかし暗殺の日を思い出そうとするとあの頭痛が襲う。歴史の修正力というより、仁を史実通りに進ませるために利用するものの、決して道を外させない強い力を感じさせています。
うーん、こうなると実際龍馬の死はどう描くのだろうか気になります。


さて、ルロンの屋敷に呼ばれて歓談するあたりは、仁と咲さんの関係でちょっと微笑ましいものがありましたね。つい洋酒を飲みすぎて酔っぱらってしまう咲さんかわいい。そして仁に向かって意味深な言葉を口にする。

「わたしはオババになってしまいますよ。元々オババのオババですけどね。

この時代の結婚適齢期は十代後半だったことを思うと、本当にオババになってしまうぞ。
それにしても仁が未来からきたことをほぼ見抜いた野風はするどい。まぁあの時代にコーヒーやシャンパンを平然と飲める方が不自然ですけどね。
そして野風は癌の転移によってあと2年しか生きられないかもしれない(5割)ことを知って、子が生まれること、その子の笑顔を見られること、もしかしたら手を繋いで歩けるかもしれないと安堵する。現代と違って命の重みが違う時代に生まれて、一度仁に救ってもらっただけに生きて子をなすことができることの想いが強いのでしょうか。野風の夢は子孫を通じて未来を生きること。なるほど、オリジナル設定をそうやって繋いだか。



専門では無いながらも、また医者としての判断よりも、野風の強い願いを受けて出産を手助けすることに決めた仁。ただし癌の転移が進行中の野風の分娩にはこの時代では技術的には有りえない帝王切開を選択せざるを得ない。またもや難問ですね。野風ではなかったけれど原作漫画でも初の帝王切開は行いました。ただ楠本イネ*3の手助けがあったし、歴史を変えるかもしれないことへの怖れはありませんでした。さて次回はどうなることでしょうか。

*1:原作では既に横浜で会っていて海外招聘の話が持ち上がるけどドラマではカットかな

*2:大政奉還とかね

*3:シーボルトの娘で産科が専門

TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第4,5話

録画分を見るのが遅くなってしまいました。
この時代の技術では治療困難あるいは不可能とされる患者が仁の前に現れ、その困難に立ち向かうエピソードが続々と登場します。それを今までの経験や周囲のサポートによって治療に生かしていくさまがこの作品の面白さでもあります。さて今回は…。

第4話

時は経ち、薩摩藩預かりの身となった坂本龍馬内野聖陽)は、仲間と共に『亀山社中』という海運商社を立ち上げる。さらに、同じく土佐の脱藩浪人で、長州藩の預かりとなっている中岡慎太郎市川亀治郎)と出会い、意気投合。2人で長州と薩摩の和解を目指し、走り回っていた。
ある日、ペニシリンの粉末化を模索している南方仁大沢たかお)のもとへ、多紀玄叙イ(相島一之)がやって来る。幕府筋からの依頼で、川越藩主の妻・恵姫(緒川たまき)のこぶを治療して欲しいと言うのだ。その依頼を引き受けることにした仁は、橘咲(綾瀬はるか)と川越へ向かう道中に立ち寄った宿で、お初(畠山彩奈)という少女に出会う。仁はお初と触れ合った瞬間、電気が走ったような不思議な感覚を覚え…!?
川越藩に到着し、早速こぶの治療にかかろうとする仁は、恵姫から「治療は無用」と拒絶されてしまう。その後、咲の説得もあり、なんとか治療を受け入れてもらえることになるのだが、結果、恵姫のこぶは良性のもので、手術をすれば取り除くことができると判明する。しかし、貧血の気がある恵姫の手術には、失血死の可能性があり…!?
第4話あらすじより

前回の和宮様の縁で治療依頼が来て仁友堂は先生たちに預け、咲さんと川越藩へ赴くことになります。このあたりでさらりと現代とは事情が違うところ*1に触れられているのが面白い。さらに宿泊先の宿ではそこの少女と手が触れた途端に電気が走ったような不思議な経験をします。現代人である仁としては「静電気?」と首を捻るのですが・・・。
それと並行して竜馬は亀山社中立ち上げがあり、中岡慎太郎との出会いから薩長同盟へと奔走する時期でもあります。
このあたり、それぞれ独立したエピソードとしてできそうなくらいの話を同時展開なので見ている方もけっこう忙しいですね(笑)
完結編に入ってますますハイテンポになって息つかせぬ展開になってきたような気がします。


藩主正室・恵姫の治療にあたっては、和宮様から拝領した櫛と咲さんの説得が功を奏します。女性でありながら医学知識を持って血液型の説明をする咲さんに恵姫もびっくり。たしか原作では楠本イネ(シーボルトの娘)が登場していますが、近代医学における女医はまだ登場しなかった時代ですしね。*2
手術決行となり、万が一のための輸血にために呼ばれた親族たちですが、血を抜くことに対する拒否反応を起こすのは致し方ないでしょう。しかし同時に家門の血を受け継いでいくというのもこの時代の武家にとっては重要なことであり、逆に団結したりもできるのですね。


さて、仁に関わって以来、結婚と医学とのはざまで揺れ動く咲さんの本音が見えたり、今度は逆に恵姫から諭されたりと微笑ましい場面があって、復路ではこの二人どうなる?ってところで、紙飛行機を追ったお初が転落して大怪我をしてしまうのです。
またしてもお初の手に触れるとビビっと電流が流れたような感覚。なんらかの運命を感じてしまうというわけですが、ここで効いてくるのが冒頭の「この世界の何処かには、確実に俺の先祖がいる。もし俺が、自分の祖先と関わってしまったらどうなるんだろう。」という仁自身の台詞なのです。この不思議な現象がお初が仁のご先祖かもしれないと思わせて次回へと続くわけですね。ちょっと飛躍がありそうな気がしないでもないですが、まぁタイムスリップではお約束。むしろ治療して命が助かりそうだというところで仁が消えてしまったことの方がよっぽど気になりますわな。

第5話

南方仁大沢たかお)が旅先の旅館で出会った少女・お初(畠山彩奈)。そんなお初が、折り紙で遊んでいる最中に、転んで大怪我を負ってしまう。
すぐさま橘咲(綾瀬はるか)とともにお初の治療にとりかかった仁だが、咲の目の前でなんと自らの身体が消えていってしまう!その瞬間、仁はあるものを目撃して…。
第5話あらすじより

お初の手術中に突然仁の体は透明となって時を超えていく。そこで見たものはお初から始まる未来のようでしたが、それは南方仁につながるものではなかったのでした。
ここでお初の命を助けることは仁の存在が危ぶまれることに。まさに神の作為を感じられたエピソードでしたね。
一方、坂本竜馬は史実通りに寺田屋で襲われ危ういところを生き延びます。戦闘中の東修介の表情がちょっと思わせぶりでしたね。竜馬の護衛に三吉慎蔵に加えて東修介が加わっていることに今後も注意ですよ。*3新撰組との関わりはこれからでしょうか。


この後は澤村田之助の依頼があって歌舞伎役者・坂東吉十郎(大和屋)の鉛中毒治療の話が描かれました。
ここでは「(この時代の医療技術では)絶対無理」と匙を投げかけた仁に対して、まさに役者に命をかける田之助や吉十郎の役者魂によって気持ちを動かされることになりました。
言ってみれば延命を第一と考える現代治療の申し子である仁ですが、ほんのわずかな時間でも確実に生きた証しを与えることに意味を見出すということをこの時代に人々によって教えられているという感じですね。
咲さんが手術だけでなく、心理面でもいいサポートしてるし。まさに医の仁を実践しているなぁと思いました。
ラストですが、父子の絆という意味ではあれも一つの表現でしょうが、原作の通りに吉十郎に晴れ舞台を踏ませてあげれば良かったのに、というのが惜しい点でした。

*1:徒歩が基本の江戸時代においては、現代人男性である仁よりも女性である咲さんの方が健脚だったり、この時代に夫婦でない男女が二人で旅行するのはあり得なかったり

*2:まだ先の話だけど、この世界では明治になって仁友堂のもとに荻野吟子(近代日本における最初の女性の医師)が学びにきたりして

*3:これはドラマオリジナル設定

TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第2,3話

昨夜録画分から続けて見られたので、今回は2話分いっぺんにいきます。

第2話

脚気に効く菓子”として、南方仁大沢たかお)の考案した安道名津(あんドーナツ)が江戸で評判となったある日のこと。仁は、奥医師でもある西洋医学所の松本良順(奥田達士)から、「脚気の疑いがある皇女和宮黒川智花)に、安道名津を献上してほしい」と頼まれる。あまりの光栄な出来事に、橘咲(綾瀬はるか)をはじめとする『仁友堂』の面々が大喜びする中、再び歴史を変えてしまうことに躊躇が生まれ、ひとり思い悩む仁…。
そんな折、仁は、長屋を追い出され職を探している野風(中谷美紀)と再会する。野風を気遣い、『仁友堂』で働くことを勧める仁。経営難の『仁友堂』を切り盛りしている咲もまた、野風を快く招き入れるのだった。
後日、安道名津の献上を決めた仁は、咲を伴い“お忍び”で澤村田之助吉沢悠)の芝居を見にやってきた和宮のもとを訪問。無事に献上を済ませた仁は、和宮が安道名津を美味しそうに食べる様子を見てホッとするのだが、それも束の間、和宮が突然その場で倒れてしまい…!?
第2話あらすじより

前回考案の安道名津(あんドーナツ)が好評を博して、皇女和宮への献上話が降ってわいたわけです。ちょっと急展開ですが、奥医師でもある松本良順繋がりってことで。ドラマ版ではさらっと描かれていますが、タイムスリップして以来、仁の医療技術に魅せられた同業者との縁ができたのは結構大きいのですよね。
更に歴史上の人物に関わるといえば、前回の西郷隆盛もそうでしたが、歴史に詳しくない人でも聞いたことありそうな有名人物が続々登場しますね。このへんが『JIN-仁-』の面白さでもあります。しかし、それが仁、そして仁友堂の危機につながるとは…。
あ、この話に欠かせない野風もうまいタイミングで復帰してます。未来(みき)の先祖かもしれない野風に対する想いを知っている咲さんとしてはやや複雑のようですが。


そして仁の人の良さと鈍感さが非常に強く印象づけられた回と言っていいでしょうか。
この時代、医といえば内科である本道が中心で、庶民は外科にかかるという習慣が無かったそうな。それゆえ、いくら時代を超えた医術を持ち得ていても、それが売上に反映するとはいかず、経営は苦しいまま。本道医である福田玄考に頼るばかり。そこで黙って自分の持ち物を質に入れる咲さんが健気ですなぁ。鈍感な仁は途中まで苦しい台所事情にも気付かない。いや、仁にも「いつ未来に戻ってしまうかわからない」という事情があるのですが…。
原作に無い未来(みき)の存在によってできたこの三角関係がストーリーも深く関わっていてちょっと複雑な感じがしますねぇ。


安道名津献上を決意し、澤村田之助の芝居の場で召し上がることに。そこで急に苦しみだして倒れてしまうというドラマチックな展開ですよ。
仁の指示による胃洗浄を行って大事無く済んだものの、仁と咲は牢に入れられることに。旗本の家柄ゆえに座敷牢に要られた咲さんと違って、牢は大牢行きに(医者は通常、座敷牢とのこと)。ツル(賄賂)の存在を知らず、大牢に入れられた仁はあわや殺されるかというところで終わってしまいました。2話目にしてこの展開とは、原作読んでいない人にはショッキングだったでしょうなぁ。
大牢という過酷な環境にあっても信念を貫く仁と、その無事を願う咲さんの姿が印象的でした。
実は事件の裏にはあわよくば仁を葬り去ろうという陰謀の存在が表れているのですが、その前に福田玄考が脅されている場面があったりして視聴者としては紛らわしいかもですね。ええ、彼は無実なのです。もっと悪い奴がいるんですよ。

第3話

南方仁大沢たかお)と橘咲(綾瀬はるか)は、皇女和宮黒川智花)に献上した安道名津(あんドーナツ)に砒素を盛った疑いを掛けられ、毒殺未遂の容疑で牢屋敷に入れられてしまう。大牢に送られた仁は、牢名主(宇梶剛士)とその手下たちから、執拗なまでの仕打ちを受けることに。そして、次に仁を待ち受けていたのは、役人たちからの厳しい拷問であった。“天の裁きが下ったのだ”と、ついに死を覚悟する仁…。そんな中、勝海舟小日向文世)、坂本龍馬内野聖陽)、橘恭太郎(小出恵介)は、新門辰五郎中村敦夫)に協力を仰ぎ、仁を助け出そうと幕府に働きかけるのだが…!?
さらに、仁の逮捕を知らされた仁友堂の面々も大混乱。「こうなったのはすべて医学館のせい」と考える佐分利祐輔(桐谷健太)は、医学館出身の福田玄孝(佐藤二朗)を責め立てる。福田は、今回の一件についての御調べを任されている医学館の督事・多紀玄琰(相島一之)に、もう一度公正な御調べをするよう必死で懇願。しかし、そんな人々の願いも届かず、死罪が決まった仁は奉行所に送られてしまい…。
第3話あらすじより

運命のいたずらとしか言えないようなタイミングで死から脱し、さらに牢内の環境改善を図る。あの環境でも自分を通す仁の凄さが窺い知れます。
一方、仁が囚われたことが知られ、助命に奔走する竜馬や恭太郎たち。新門辰五郎の助けもあって一橋様のお墨付きを得られるのですが…。
これオリジナルシーンですけど、印籠を前にして役人があっさり偽物と切って捨てるのってアリなんかなぁと疑問に思ってしまいました。でも逆に竜馬の訴えによって、周りの人たちが助けようとしたりしたらどうしようかと思ってしまいましたが(笑)


奉行所において、咲さんを助けるためにあわや身に覚えない罪を自白しようかというところであっさり構い無し(無罪放免)との沙汰が。ここは本当にほっとした場面ですね。
その裏では思った以上に器の大きかった多紀玄琰の働きがあったのですが、共にこの国の医療を向上させたいという仁の人柄はそれを上回ります。福田玄考もどうなるかと思いましたが、良かった良かった。まぁ元々多紀玄琰が仁の医療技術を利用しようというのは、それだけ仁を買っているというのもあったのですが、ちょっと誤解されやすく描かれていますよね。


今回、ツルの出所が明らかになり、野風が異国人ルロンの元に身を寄せていることが明らかになります。このあたりでは、単なる身売りではなく、以前から想いを寄せていたルロンの人柄の良さに野風が惹かれたことがわかります。
そして野風が「先生と幸せになると約束してくださんし」「では咲さん、おさらばえ」と語って去っていくのがなんともいい場面でした。
さてこれでめでたく咲さんも結ばれるのかと思いきや、仁の告白をあっさり振ってしまう。おやおや…。*1
たとえ仁が未来に去っても仁友堂が残るようにしたいがため、その気持ちを受けれることができないと。
うーん、気持ちをあらわにはしない咲さんらしい大人な対応ではあります。それにドラマ的にもこういうのは引き延ばした方がいいのかも。ちょっと残念ではありますけどね。

*1:原作漫画では海辺で指輪を渡して想いが通じるいい場面なんだけどなぁ

TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」(完結編)第1話

一週間遅れてしまいましたが今回も感想を書いていきますね。

時を超え、南方仁大沢たかお)が幕末の江戸時代に迷い込んでから、2年ほど経ったある日のこと―。
落ち込む橘咲(綾瀬はるか)の様子が気になり、咲の実家を訪ねた仁は、咲の兄・橘恭太郎(小出恵介)から、咲の母・栄(麻生祐未)が脚気であることを明かされる。恭太郎によると、数日前、栄の身を心配する咲が橘家を訪れ、医師に診てもらうよう進言したのだが、縁談を破談にしてしまった咲をいまだ許していない栄は、咲が橘家の敷居を跨ぐことさえ認めず追い返してしまったというのだ。何とかして栄を助けたいと考えた仁は、甘いものが好物だという栄のため、とあるお菓子をこしらえて脚気治療を行おうとするのだが・・・。
そんなある日、仁に助けを求め、京から坂本龍馬内野聖陽)がやって来る。聞けば、勝海舟小日向文世)の師である佐久間象山市村正親)という人物が何者かに襲われ、ケガをして瀕死の状態に陥っているというのだ。時代に影響を与えている重要な人物を助けることで、「歴史を大きく変えてしまうのではないか」と悩みつつ、龍馬と共に京都入りする仁。そこには、生きているのが奇跡といえる程の重症を負った象山の姿があった。
仁の必死の治療の甲斐もあって、なんとか一命を取り止めた象山。その時、意識を取り戻した象山の口から、驚きの言葉が…!
その後、京都に留まり、長州と薩摩の戦いによって怪我をした人々の治療に専念する仁は、突然現れた新撰組によってどこかへ連れ去られてしまう。仁が連れて来られたのは、薩摩藩邸にいる西郷隆盛藤本隆宏)のもとだった。西郷は、今すぐ腹を切って手術をしなければ、命の危険にかかわるほどの虫垂炎を患っており…!?
第一話あらすじより

しょっぱなからクライマックス間近と思わせるような中身の濃い内容でした。
約2時間(初回のみ)のあらすじは上記の通りですが、栄さんの脚気治癒のための安道名津(あんドーナツ)はさる高貴な方との縁と仁友堂の危機に繋がるし(予告によると次回描かれる模様)、坂本竜馬に懇願されて京に行った先では攘夷派に襲われて瀕死となった佐久間象山に出会っておおいに影響受けるし、蛤門の変(禁門の変)で焼きだされた人々を治療する中で東修介*1に出会ったりと、初回なりにいろいろと今後を予想させる出来事てんこ盛りでした。


コミックスでいえば2〜3巻分でじっくり書かれたエピソードを詰め込んだだけに多少駆け足っぽくはありますが、繋がりは自然でかつ要点は押さえた流れだったので違和感無くあっという間に感じた2時間でしたね。
原作での特色でもある、医療を通じて歴史上の有名人物との出会い、歴史を変えてしまうことと医者としての使命との狭間で苦悩する仁の様子がよく伝わってきました。
そういう意味では一時にしろ現代を垣間見た佐久間象山との邂逅、仁の背を押すことになる「思いのままに救え!」のシーンは熱演でしたね。わずかな時ではありましたが、前シリーズで武田鉄矢演じた緒方洪庵に続いて時代の先端を走っていた偉人が死の間際に仁を理解しそして道筋を与えたということで感慨深いですねぇ。
そういや虫垂炎を患っていた西郷吉之助(隆盛)の手術前後では危うい場面がありましたが仁は度胸と機転でなんとか凌ぎました。この時代では本来治療ができないはずの虫垂炎の開腹手術、そして長州残党の刃をも防がせたとは、仁をして神が歴史を動かさせたとも受け止められますがどうでしょうか?*2


前回ではふくよかすぎる山田純庵ら一部の人物に原作とはイメージが違うために違和感を感じたこともありましたが、完結編が始まって見てみると多少馴染んだ感じかな。個人的にはやっぱり咲さんら橘家の人々や坂本竜馬が好感持てます。
ところでオープニングで一瞬見られた謎の男とエンディングで見れた野風の馬上の洋装姿から想像するに、やっぱり原作漫画の結末に近づけていくのでしょうかね。

*1:架空の人物だが、最後まで仁に関わり重要な役割を果たす

*2:まぁ神といっちゃあアレですけど、(仁のタイムスリップによる?)アクシデントによって狂いが生じた歴史の修復力とも言うべきか

TBS「日曜劇場『JIN-仁-』」第10話〜最終話

ドラマ『JIN-仁-』もとうとう最終回むかえましたね。個人的にはNHKの『坂の上の雲』に関心が移りつつもちゃんと最後まで見届けました。

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